海外水ビジネス実例
急成長する世界の水ビジネス市場に、
官民一体となった「チーム北九州」で応えています。
KOWBAの活動の成果
設立当初は、計画策定のコンサルティング業務等小規模の案件受注が中心でしたが、建設工事等の大型案件の受注が増えてきています。協議会活動を通じ、海外水ビジネスが北九州市の産業振興につながるよう、努めていきます。
これまでの会員企業による海外水ビジネス受注実績
71件 約155億円(2010年~2020年3月末実績)
これまでの受注実績国
カンボジア、ベトナム、インドネシア、中国、ミャンマー、フィリピン、パプアニューギニア
北九州市の海外水ビジネスの推進事例紹介(上水道分野)
現在進行中の上下水道分野での主要な海外水ビジネスプロジェクトをご紹介します。
カンボジア
カンボジア王国・コンポントム上水道拡張事業(ODA・無償資金協力)
プロジェクト概要
【契約時期】2019年3月
【対象地域】カンボジア王国コンポントム州都地域
【契約金額】約30億円
【計画期間】設計・建設期間約3年 2022年完成予定
運転維持管理期間5 年間(延長オプション有り)
【施設規模】取水設備、浄水場(処理能力7,500m3/日)配水管約150km
【効果】 対象地域の水道普及率 40%から80%へ
プロジェクトの特徴
施設を整備するだけでなく、その施設を活用して水道事業の運営までを一貫して支援する「事業・運営権対応型無償資金協力」と呼ばれる契約形態を採用しています。水道事業分野のODA案件としては、初めての採用です。
取水から浄水、配水、給水に至る水道システムの整備と事業運営を日本企業が一貫して行うことにより、日本品質の水道サービスをカンボジアで提供できるようになります。
北九州市の支援内容
- 水道施設の運転・維持管理の豊富なノウハウをもとにした技術的な助言
- 相手国政府との独自のパイプを活かした調整業務
カンボジア王国・シェムリアップ上水道拡張事業(ODA・円借款)
プロジェクト概要
【契約時期】2015年12月(詳細設計業務の受注)
【対象地域】カンボジア王国シェムリアップ州都地域
【契約金額】約70億円(設計業務・施工工事等の総額)
【計画期間】設計・建設期間約6年 2022年完成予定
【施設規模】取水設備、浄水場(処理能力60,000m3/日)配水管約160km
【効果】 対象地域の水道普及率 30%から100%へ
プロジェクトの特徴
世界遺産「アンコールワット遺跡群」を擁するシェムリアップ市は、都市化の進展と観光客の増加により水道の供給能力が不足しています。そのため、多量の井戸水の汲み上げによる地盤沈下や、不十分な水処理による健康被害などが懸念されています。
本プロジェクト後には、水道供給能力がこれまでの3倍になり、安全・安心・安定的な水道の供給が可能になります。
北九州市の主な支援内容
- カンボジアでの長年の経験に基づく具体的な技術提案
- プロジェクト全体の施工監理
- 施設完成後の運営・維持管理指導
ベトナム
ベトナム国・ハイフォン市アンズオン浄水場改善計画(ODA・無償資金協力)
プロジェクト概要
【契約時期】2018年8月
【対象地域】ベトナム国ハイフォン市
【契約金額】約20億円
【計画期間】建設期間約3年 2021年完成予定
【施設規模】上向流式生物接触ろ過(U-BCF)処理施設(処理能力100,000m3/日)
【効果】 水源水質に問題を抱えるベトナムの都市において、安全な水の給水が可能になる。
プロジェクトの特徴
急速な経済発展に伴う河川の水質悪化に悩まされているハイフォン市において、北九州市は2010年から技術協力を行い、北九州市独自の高度浄化処理技術であるU-BCF導入の研究を行い、小規模浄水場への導入など進めてきました。本プロジェクトで、ハイフォン市の主力浄水場に導入することにより、今後、ベトナム他都市へのU-BCFの展開が期待されます。
北九州市の主な支援内容
- ハイフォン市へのU-BCF導入へ向けての技術協力
- 相手国政府や関係機関との独自のパイプを活かした調整業務
TOPICS
北九州市独自の高度浄化処理技術
上向流式生物接触ろ過(U-BCF)とは?
高度浄化処理技術とは?
通常の浄水処理では、薬品を利用して大きな濁りを沈殿させたり、砂や砂利を使って、ろ過を行います。
しかし、この方法だけでは、水の中に溶けている臭気物質や有機物などの有害物質を十分に取り除くことができません。そこで、有害物質を取り除くため、通常の浄水処理に加えて、高度浄水処理を行います。活性炭処理、オゾン処理、生物処理などを利用した処理が一般的です。
高度浄化処理を行うことにより、水処理のために使う薬品を減らすことができ、環境面や健康面でのメリットがあります。
上向流式生物接触ろ過(U-BCF)とは?
北九州市が民間企業と共に開発した独自技術です。北九州市は、主要水源の一つである遠賀川の水質汚染に悩まされてきました。そこで、市民の皆さんに安全・安心な水道水を届けるため、開発されました。河川が本来持っている微生物による自然浄化作用を応用した技術で、他の処理方法と比較して、導入コスト・運転コストに優れるというメリットがあります。
北九州市の海外水ビジネスの推進事例紹介(下水道分野)
現在進行中の下水道分野での主要な海外水ビジネスプロジェクトをご紹介します。
カンボジア
プノンペン都下水処理場整備プロジェクト(ODA・無償資金協力)
プロジェクト概要
【契約時期】2019年11月(施設の実施設計及び施工監理等)
【対象地域】カンボジア王国・プノンペン都
【契約金額】約3億円(施設の実施設計及び施工監理等)
【計画期間】設計・建設期間約5年 2024年完成予定
【施設規模】下水処理場(処理水量5,000m3/日)、下水道管きょ(約2km)
プロジェクトの特徴
プノンペンは人口200万人を越える都市ですが、いまだ下水処理場がありません。そのため、生活排水は郊外の沼地や川へそのまま垂れ流されています。このような悪状況を打破すべく、プノンペン都初の公共下水処理場として整備されます。
北九州市の主な支援内容
- 下水道インフラの本格整備に向けての、人材育成などの技術協力
- 詳細設計、施工監理、下水処理場の運転・維持管理に関する業務
【ウォータープラザ】
「海水淡水化・水再利用統合システム」の海外展開(NEDO・実証事業)
プロジェクト概要
【施設規模】ウォータープラザ北九州と同等の海水淡水化・水再利用統合システム実証施設
【対象地域】南アフリカ共和国ダーバン市
【完成時期】2020年3月
プロジェクトの特徴
ウォータープラザ北九州で研究が進められている「海淡・下水再利用統合システム」は、一般的な海水淡水化システムと比較して、下水の再利用水を利用することにより、使用電力及び濃縮海水の排出量の削減を実現した環境にやさしいシステムです。
南アフリカは平均年降水量が全世界の約半分で、さらに近年では都市部への人口集中などにより水不足が深刻化、さらに電気料金の高騰などを背景として、省エネルギー型の造水システムへのニーズが高まっており、実証実験施設が建設されました。
本プロジェクトにより、「海淡・下水再利用統合システム」の海淡グローバルマーケットへの進出が加速することが期待されます。
北九州市の主な支援内容
- ウォータープラザ北九州への視察者の積極な受け入れによる、幅広い情報発信
北九州市の海外水ビジネス・主要事業年表
KOWBA会員企業による海外水ビジネスの主要受注実績